掲揚儀礼
2カ国(かこく)の場合(ばあい)
国旗(こっき)は、原則(げんそく)として自国旗(じこくき)に最優先権(さいゆうせんけん)が与(あた)えられますが、今日日本(こんにちにほん)では、とくに日本国旗(にほんこっき)を右側(みぎがわ)に掲揚(けいよう)するのが一般的(いっぱんてき)です。つまり2 カ国(かこく)の国旗(こっき)を掲揚(けいよう)する場合(ばあい)は、外国(がいこく)に敬意(けいい)を表(あらわ)すという意味(いみ)から外国国旗(がいこくこっき)をポールまたは壁(かべ)に向(む)かって左側(ひだりがわ)(上位席(じょういざ))に掲揚(けいよう)するわけです。 ポールを使用(しよう)する場合(ばあい)は、ポールの交差(こうさ)する部分(ぶぶん)が「外国旗(がいこくき)が上(うえ)から交差(こうさ)」する形(かたち)となりますので、十分(じゅうぶん)な注意(ちゅうい)が必要(ひつよう)です。
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例(れい)1 ポールに掲揚(けいよう)する場合(ばあい)
外国国旗(がいこくこっき)日本国旗(にほんこっき) -
例(れい)2 壁(かべ)に掲揚(けいよう)する場合(ばあい)
外国国旗(がいこくこっき)日本国旗(にほんこっき) -
例(れい)3 交差(こうさ)して掲揚(けいよう)する場合(ばあい)
訪問客(ほうもんきゃく)から見(み)た配置(はいち)
3カ国(かこく)の場合(ばあい)
3カ国(かこく)の場合(ばあい)は、通常日本(つうじょうにほん)の国旗(こっき)を中央(ちゅうおう)に、他(ほか)の2 カ国(かこく)の国旗(こっき)は、国連方式(こくれんほうしき)による国名(くにめい)アルファベット順(じゅん)となります。したがって、先順位(せんじゅんい)の外国国旗(がいこくこっき)を日本国旗(にほんこっき)に向(む)かって左側(ひだりがわ)に、そして他(ほか)の一国(いっこく)の国旗(こっき)を右側(みぎがわ)に掲揚(けいよう)します。
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例(れい)4 ポールに掲揚(けいよう)する場合(ばあい)
オーストラリア日本(にほん)カナダ -
例(れい)5 壁(かべ)に掲揚(けいよう)する場合(ばあい)
オーストラリア日本(にほん)カナダ
壁(かべ)に掲揚(けいよう)する場合(ばあい)、スペースの関係(かんけい)で、複数(ふくすう)の国旗(こっき)を(掲揚(けいよう)できない場合(ばあい)には縦(たて)に長(なが)く掲揚(けいよう)することも可能(かのう)です。この場合(ばあい)、例(たと)えばアメリカ合衆国(がっしゅうこく)の星条旗(せいじょうき)やオーストラリアなど、旗(はた)の左上部(ひだりじょうぶ)の小区画(しょうくかく)(カントン)がある国旗(こっき)については、必(かなら)ずカントンが右上方(みぎじょうぶ)(向(む)かって左上方(ひだりじょうぶ))にくるようにしなければなりません。
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例(れい)6 縦(たて)に掲揚(けいよう)する場合(ばあい)
オーストラリア日本(にほん)カナダ -
例(れい)7 カントンの位置(いち)
4カ国以上(かこくいじょう)の場合(ばあい)
4カ国以上(かこくいじょう)の場合(ばあい)は、通常(つうじょう)、国連方式(こくれんほうしき)によるアルファベット順(じゅん)に従(したが)って配置(はいち)していく方法(ほうほう)が一般的(いっぱんてき)です。ポールまたは壁(かべ)に向(む)かって左(ひだり)から右(みぎ)へ羅列(られつ)していくのが一般的(いっぱんてき)ですが、国旗(こっき)が奇数(きすう)の場合(ばあい)は日本国旗(にほんこっき)を中央(ちゅうおう)にして、外国国旗(がいこくこっき)をアルファベット順(じゅん)に交互左右(こうごさゆう)に配列(はいれつ)していく方法(ほうほう)があります。
例(れい)8 国連方式(こくれんほうしき)
(Argentina)
(Brazil)
(China)
(Japan)
(USA)
例9 日本(にほん)を中心(ちゅうしん)とする場合(ばあい)
卓上旗(たくじょうき)の場合(ばあい)
国旗掲揚(こっきけいよう)の仕方(しかた)は、前記(ぜんき)と同様(どうよう)ですが、次(つぎ)のようないろいろな配置(はいち)が考(かんが)えられます。
国旗(こっき)と団体旗(だんたいき)を同時併揚(どうじけいよう)する場合(ばあい)
国旗(こっき)は一国(いっこく)を代表(だいひょう)するものですから、国旗(こっき)と団体旗(だんたいき)を併揚(けいよう)することは厳(げん)に避(さ)けるべきでしょう。しかし、どうしても併揚(けいよう)せざるを得(え)ない場合(ばあい)は、国旗(こっき)は団体旗(だんたいき)よりも大(おお)きくし、また、団体旗(だんたいき)よりも高(たか)く揚(あ)げなければなりません。したがって、こうした掲揚(けいよう)の仕方(しかた)は、屋内(おくない)で、しかも壁(かべ)などに掲揚(けいよう)する場合(ばあい)には可能(かのう)ですが、屋外(おくがい)にある高(たか)さが同一(どういつ)のポールへの掲揚(けいよう)は、団体旗(だんたいき)が半旗掲揚(はんきけいよう)の形(かたち)となってしまうので、事実上不可能(じじつじょうふかのう)となるわけです。いずれにしても、国旗(こっき)と団体旗(だんたいき)の併揚(けいよう)は厳(げん)に慎(つつし)むべきでしょう。
例(れい)10 国旗(こっき)と団体旗(だんたいき)を同時併揚(どうじけいよう)する場合(ばあい)
半旗(はんき)の掲揚(けいよう)
弔意(ちょうい)を表(あらわ)す場合(ばあい)は、半旗(はんき)を揚(あ)げることがあります。いかなる場合(ばあい)に半旗(はんき)を掲揚(けいよう)するかについては、別段(べつだん)の定(さだ)めはありませんが、国葬(こくそう)または国葬(こくそう)に準(じゅん)ずる葬儀(そうぎ)のある場合(ばあい)には、そのつど内閣(ないかく)の決定通達(けっていつうたつ)が行(おこな)われ、官庁庁舎(かんちょうちょうしゃ)には半旗(はんき)が掲揚(けいよう)されることになっています。また、外国元首(がいこくげんしゅ)の逝去(せいきょ)により、外国(がいこく)で国葬(こくそう)が行(おこな)われる場合(ばあい)は、国葬日(こくそうび)に、総理官邸(そうりかんてい)および外務省(がいむしょう)の旗(はた)は半旗(はんき)とすることになっています。半旗(はんき)の仕方(しかた)は、一度(いちど)ポールの上(うえ)まであげてから、半旗(はんき)の位置(いち)に下(さ)げ、おろす時(とき)も、一度上(いちどうえ)にあげてからおろします。半旗(はんき)の掲揚(けいよう)が旗竿(はたざお)その他(た)の構造上無理(こうぞうじょうむり)な場合(ばあい)は、冠頭(かんとう)(旗竿(はたざお)の最上部(さいじょうぶ))を黒布(くろめ)で巻(ま)くのも一方法(いっぽうほう)です。
国旗(こっき)の立(た)て方(かた)
「国旗(こっき)」は、その国(くに)を象徴(しょうちょう)するシンボルともいえるものです。外国(がいこく)から訪問客(ほうもんきゃく)を迎(むか)える場合(ばあい)、国旗(こっき)を掲揚(けいよう)することで、その敬意(けいい)を表(あらわ)すことができます。しかし、その取(と)り扱(あつか)い方(ほう)をまちがえますと、相手国(あいてこく)に失礼(しつれい)になるばかりでなく、国際親善(こくさいしんぜん)、友好(ゆうこう)を深(ふか)めるせっかくの機会(きかい)もだいなしになってしまいます。 国旗(こっき)の取(と)り扱(あつか)いについては、ある程度国際的(ていどこくさいてき)に承認(しょうにん)された基本原則(きほんげんそく)や慣行(かんこう)がありますので、対応(たいおう)に十分(じゅうぶん)な注意(ちゅうい)が必要(ひつよう)となります。
国旗掲揚(こっきけいよう)の基本原則(きほんげんそく)
- 国旗(こっき)は、国家国民(こっかこくみん)を象徴(しょうちょう)するシンボルとして掲揚(けいよう)されるものですから、汚(よご)れたり、破損(はそん)したりしたものを使用(しよう)してはなりません。
- 国旗(こっき)を旗竿(はたさお)(ポール)に掲揚(けいよう)する場合(ばあい)は、常(つね)に旗竿(はたさお)の最上部(さいじょうぶ)(竿頭(さおがしら))に接(せっ)して掲(あ)げなければなりません。また、三脚(さんきゃく)などを使用(しよう)する場合(ばあい)は、国旗(こっき)を地面(じめん)につけてはいけません。
- 日本国旗(にほんこっき)と外国国旗(がいこくこっき)を同時(どうじ)に掲(あ)げる場合(ばあい)には、国旗(こっき)の大(おお)きさは同一(どういつ)のもので、旗竿(はたざお)の高(たか)さも同一(どういつ)としなければなりません。(壁(かべ)に掲揚(けいよう)する場合(ばあい)も、同一(どういつ)の高(たか)さとします)。
- 外国国旗(がいこくこっき)と日本国旗(にほんこっき)と併揚(けいよう)する場合(ばあい)、国(くに)によっては、革命(かくめい)や国家元首(こっかげんしゅ)の交替(こうたい)などに伴(したが)い、国旗(こっき)の図柄(ずがら)がその全部(ぜんぶ)または一部(いちぶ)が変(か)わる場合(ばあい)もありますので、事前(じぜん)に国旗(こっき)のサイズ(縦・横(たて・よこ)の比率(ひりつ))および図柄(ずがら)について確認(かくにん)することが必要(ひつよう)です。
- 自国(じこく)の国旗(こっき)(日本国旗(にほんこっき))を掲(あ)げることなく、外国国旗(がいこくこっき)のみを掲(あ)げてはいけません。
- 一本(いっぽん)のポールに二カ国以上(かこくいじょう)の国旗(こっき)を掲(あ)げてはいけません。
- 二カ国(にかこく)の国旗(こっき)を掲揚(けいよう)する場合(ばあい)、国旗掲揚(こっきけいよう)の上位(じょうい)の位置(いち)とは、内側(うちがわ)から見(み)て右側(みぎがわ)、すなわち外側(そとがわ)から見(み)て左側(ひだりがわ)となります。
- 通常(つうじょう)、国旗(こっき)と団体旗(だんたいき)は併用(へいよう)しません。ただし、併揚(けいよう)する場合(ばあい)には、国旗(こっき)は団体旗(だんたいき)よりも大(おお)きく、団体旗(だんたいき)よりも高(たか)く掲揚(けいよう)しなければなりません。
- 複数(ふくすう)の国旗(こっき)を掲揚(けいよう)する場合(ばあい)、および国旗(こっき)と、これとは性格(せいかく)の異(こと)にする旗(はた)(団体旗(だんたいき)など)を掲揚(けいよう)する場合(ばあい)は、最上位(さいじょうい)の旗(はた)を最初(さいしょ)に掲揚(けいよう)します。また降納(こうのう)の場合(ばあい)は、最上位(さいじょうい)の旗(はた)を最後(さいご)とします。
- 国旗(こっき)の掲揚(けいよう)は、通常(つうじょう)、日(ひ)の出(で)(または始業時(しぎょうじ))から日没(にちぼつ)(または終業時(しゅうぎょうじ))までとします。
- 雨天(うてん)の場合(ばあい)は、通常(つうじょう)、国旗(こっき)を屋外(おくがい)に掲揚(けいよう)しません。
- 弔意(ちょうい)を表(あらわ)す場合(ばあい)は、半旗(はんき)を掲(あ)げることがあります。その手順(てじゅん)は、ポールの場合(ばあい)、一度旗竿(いちどはたざお)の最上部(さいじょうい)まであげてから半旗(はんき)の位置(いち)まで下(さ)げます。また、降納(こうのう)する場合(ばあい)も、旗竿(はたざお)の最上部(さいじょうぶ)まであげてから降納(こうのう)します。
- 国旗掲揚(こっきけいよう)の際(さい)は、起立(きりつ)して姿勢(しせい)を正(ただ)し、目礼(もくれい)または脱帽(だつぼう)して国旗(こっき)に敬意(けいい)を表(あらわ)すのが、国際的(こくさいてき)な慣例(かんれい)となっています。
(出典(しゅってん):「国際儀礼(こくさいぎれい)に関(かん)する12章(しょう) プロトコール早分(はやわ)かり」外務省外務報道官編集(がいむしょうがいむほうどうかんへんしゅう)・世界(せかい)の動(うご)き社発行(しゃはっこう)より)